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実効線量関係の個人的まとめ [夜話]

急に寒くなって、びっくりですね。

今日は、柏近辺における放射線ひばくに関する私の見解について、コメント欄で書いたものや、記事にしたものなどを、一度とりまとめておきます。

(1)水道水
ここしばらく、検出されていません。特に心配いらなくなっていると思います。

(2)空気
3/21以降、減衰曲線がほぼ理論通りであることから、放射性物質はほとんど降下・吸着しており、それに比べると空気中の濃度は、非常に低いでしょう。特に、心配要らなくなっていると思います。

(3)空間線量率
測定高さに関する私の見解については、こちらの記事をご覧ください。
現在は、ほとんど長寿命核種からの放射線になっていますので、今後しばらく大きな値の変化はないと思われます(たまにがんセンターみたいに下がったりするのが「?」ですが・・・)。お近くの公的機関の1m以上の高さでの計測値をもとに一年間に換算しても大きな誤差はないでしょう。たとえば0.40μSv/hですと、24(時間)×365.25(日)して、3.5mSv/年という要領です。空間的なバラツキはありますが、柏近辺の最頻値は0.2~0.3μSv/hくらいと思います。東大柏キャンパスなどは、柏の中でも高めの部類です。

(4)表層土壌
基本的に、体内に取り込まなければ問題ないでしょう。地表付近で受けるベータ線による外部被曝の実効線量は、ほとんど誤差程度と思われます。ただし、一日10gの土を毎日体内に取り込むと、1mSv/年くらいになる可能性があります。詳細は、こちらの記事をご覧ください。

(5)食品
食生活にも依りますが、暫定基準値からすると、最大でも数mSv/年くらいかなと思います。実際的には、1mSv/年行くかどうか・・・という気がします。もう少し詳しい値は、こちらの試算をご覧ください。

(6)"ホットスポット"疑惑について
私も一時期、柏近辺は周囲に比べて高めなのかな?・・・と思ったんですが、どうもバックグラウンドと計測地点選定のバイアスの影響が相当あることが分かってきたため、いちがいにそうとも言えないような気がしてきました。気にするほどの高さでもないので、どっちでも良いといえばそれまでですが。
・・・それにしても、「ホットスポット」って誰が言い始めたんでしょう?熱いところ?・・・というか、ホットスポットと言われると、どうしてもハワイとかみたいに地球深部の外殻付近からマントルプルームが上昇してきている火山を思い浮かべてしまって、紛らわしいんですけど・・・。

(7)健康影響について
もっともリスクを厳しく見積もった場合、「+1mSv/年≒成人が2~3週間喫煙」相当というコメントを、とある小児科医さんからいただきました。また、自然放射線が高い地域を利用して行われた低線量長期被曝の場合に関する研究の文献調査で得た情報では、緩やかな閾値と時間経過の効果があり、「0~10mSv/年程度=影響があるとは考えにくい、10~20mSv/年程度=微妙だけど多分大丈夫、20mSv/年程度以上=微妙だけど多分リスクが上がっている」ということのようでした。

(8)放射線防護の考え方について
柏近辺で普通に生活している限り、有意な健康影響が現れることは考えにくいと思いますが、そうであっても「合理的に達成可能な範囲で、被曝量は低く抑えるようにする」というのも、放射線防護の原則です。「何もメリットがないことで、被曝するのは避ける」、「社会的にも個人的にも過剰な負荷にならない範囲で、被曝量を抑える対策を施していく」の二本柱で、ゆくゆくは「バックグラウンド値+1mSv/年」以下に抑えられるように、計画・実践していくことになると思います。


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コメント 14

too

いつも拝見させて頂いております。貴殿のような方が柏にいらっしゃることが救いになっていると思っています。
1つご質問です。当方柏の葉駅前に在住なんですが現在行われている駅前の開発工事が少し気になっています。土壌の掘り返しを行っているのですが、それで土壌の放射性物質が舞い上がるということはあるのでしょうか?仮にその場合24時間換気などは切った方がよろしいのでしょうか?

よろしくお願い致します。
by too (2011-05-24 11:30) 

トモ

現状の生活を維持しつつ、
なるべく被曝量を下げるようにするって解釈で良いでしょうか?
これから長い戦い?になるかもしれないですから、
出来る範囲で自己防衛していけばいいかなって思ってます。
心配しすぎて精神を病む事が一番怖いです。
by トモ (2011-05-25 21:39) 

水琴

too さん>

施工方法に依ります。見た目に顕著に土埃が舞っているようであれば、無闇に吸い込む機会を増やすような行動を控えることは考えられます。ただ、もっとも濃度が濃いであろう表層の土壌であっても一日10gを毎日摂取して1mSv/yr行くかどうかなので、そんなに心配するほどでもないと思います。そういうわけで、換気については、特に気にする必要はないと思っています。

by 水琴 (2011-05-26 00:34) 

水琴

トモ さん>

その通りです。

土壌の汚染レベルや、空間線量率を下げたりすることを考えるというのは、行政レベルでのお話です。

個々人として注意することとしては、土を食べないとか、偏食しないとか、放射性物質以前に注意すべき内容がメインだと思います。普通の生活を維持していて、十分安全ですから、心配しすぎたり生活パターンを無理に変えて健康等に影響を出すほうがまずいと思います。

by 水琴 (2011-05-26 00:48) 

too

水琴さん トモさん

丁寧なご回答ありがとうございます。
生後間もない乳児を抱える親としてできる限りのことをしてあげようと質問させて頂きました。

これからもこちらのブログで水琴さんの分析をご参考にさせて頂こうと思います。

ありがとうございました。
by too (2011-05-26 01:40) 

おじぎ

水琴さん、こんにちは。
流山寄りの松戸市民、おじぎです。

いつもながら、今回のまとめも大変分かりやすかったです。

私がこの事故で、信用しにくい政府の公表にも、動きの鈍い市や学校にも、煽るかのようなネットの様々な発言にも、動じることなく冷静にこれたのは、水琴さんのおかげです。。
今後も水琴さんのブログを見返しながら落ち着いて前向きに生活したいです。

将棋まるで興味ありませんでしたが(謝(汗))、娘と動物の将棋デビューも考えてます。出来るかしら~~。。
by おじぎ (2011-05-26 13:31) 

トモ

tooさん

お気持ちお察しします。
生後間もない赤ちゃんがいれば、尚更ご心配でしょう。

うちの主人は「タバコの方があぶねぇんだから…。」って言います。
私は頭では分かっていても、
子供達の事を思うとすごく不安になる時があります。
母親の心理だと思います。

いろんな情報や憶測が飛び交う中、
水琴さんやコメントを寄せられた先生方のご意見は
政府とか関係なく中立なご意見だと思っています。
悩みながらも前向きに考えていけたら良いですね。
by トモ (2011-05-26 20:25) 

サチ

はじめてのコメントです。
論理的で簡潔な文章で書かれていて大変読みやすく、震災発生後からですが一気に読みました。

「ホットスポット」について、私も命名の由来を不思議に思っています。
アイソトープを使った実験で、放射性物質がおおく含まれているものを「ホット」、そうでないものを「コールド」と呼ぶ為ではないかと推測します。

茨城県による放射線測定の結果、守谷、取手での値(0.212、0.226)が北茨城(0.193)より高いです。松戸での測定結果も柏での測定結果と矛盾しておりませんし、やはり「ホットスポット」は存在するようです。一体、上空では何が起こっていたのでしょうか?気になるところです。

事故を起こした原発は当初の憶測より非常にダメージが大きかったことが、明らかとなっています。燃料が完全に融解し、さらに容器に複数の穴が開いているにもかかわらず、周囲の放射線量が予測よりは(もちろん非常に高くはあるのですが)高くはなかったのかも気になるところです。

水琴さんの放射性物質の違いによる放射線量の変移についての考察、減衰予測にもとづく変化(屋上を掃除した?)の発見は大変興味深かったです。

近隣に住むものとしては、周囲より高めの放射線量が気にならないとはいいませんが、科学的、論理的思考を念頭において行動していきたいと思います。

これからも楽しみにしています。










by サチ (2011-05-26 22:12) 

しんじ

いつも丁寧でわかりやすい考察ありがとうございます。
最近になり柏・松戸・流山のことが報道されていますが
こちらのブログのおかげで冷静に過ごせています。
日常に差し支えない範囲での対策を続けていきたいと思います。
by しんじ (2011-05-27 10:31) 

水琴

おじぎ さん>

いつもコメントありがとうございます。私のつたないブログが多少なりとも皆様のお役に立ったのであれば幸いです。

どうぶつ将棋は、見た目がかわいいので、万が一将棋はもういいやってなっちゃっても、インテリア(?)とかに転用できるかもしれませんし、個人的にはオススメですね。

by 水琴 (2011-05-31 19:29) 

水琴

サチさん>

はじめまして。「ホット」、「コールド」の話、そういえば昔聞いたような気がします・・・。なるほどです。

原発のニュースは、いろいろと二転三転したりして、訳が分からないので、今のところ、じと~っと見つめるだけにしてます・・・。やはり、チェルノブイリに比べると、比較的ゆっくり漏洩するような経過をたどったことは、不幸中の幸いだったのかなと思っています。

by 水琴 (2011-05-31 19:51) 

柏っ子親父

 柏に両親が住んでおります。本人たちは無頓着ですが、柏の放射線量について(孫を連れて帰る都合もあって)気になっておりました。
 こちらのブログの詳細な分析、たいへん勉強になり、勇気づけられます。ありがとうございます。
 
 さて、出張から戻られてお疲れのところ、いくつかうかがいたいことがあります。お手すきの時にコメント頂戴できれば幸いです。

(1)表層土壌からの内部被曝について、「胃に飲み込む」のと「肺に吸い込む」のは同じリスクと考えてよいでしょうか?

(2)柏市の測定により、校庭の中央付近から0.3~0.5μSv/hといった数値も出ているようです。
http://www.city.kashiwa.lg.jp/980/higashinihondaishinsai/1138/1154/index.html
 吹きだまりや植え込みなどでもっと高い数値が出る可能性もあり、最頻値が思いの外高くなる可能性がありますがこれによるリスクの変化はどの程度でしょうか。

(3)暫定基準値ぎりぎりの食品のみを摂取し続けた場合、年間内部被曝量が17mSvに達するという試算があるようです。
http://www.jca.apc.org/mihama/fukushima/exdsignaturerep.htm
 この試算だと、日本の1/2にも満たないEUの基準値ぎりぎりでも年間7mSvほどになる見当なので、どこかに間違いがあるのだろうと思うのですが・・・。まさか水琴さんに検算をお願いするわけにもまいりませんが、なぜこのような試算になったのか、お考えをうかがえれば幸いです。

 ついでながら、放射性物質が検出された食品とその数値を検索できるサイトを見つけました。ご参考までに。
http://atmc.jp/food/
by 柏っ子親父 (2011-06-20 19:55) 

水琴

柏っ子親父 さん>

はじめまして。

(1):呼吸と消化は違うプロセスなので、吸収の仕方には、差があるのではないかと思いますが、詳しくは知りませんm(_ _)m
体内に入った後は、セシウムの場合、血中に溶けてカリウムなどと同じように振る舞うだろうと思いますので、あまり差はないのではないかと素人的には思います。ところで、人体構造上、肺の中に、そうそう土壌粒子が入ることはなく(入ってしまうと、普段から大変!)、鼻、口、気管等でトラップされて、最終的に消化器系に移動するのがほとんどだと思います。なので、本記事の試算は、消化器系から摂取することを前提としています。

(2):吹きだまりや植え込みなど、きちんと測定されていないデータについては、何とも言えませんというのが、理系の公式回答です。
・・・が、これでは身も蓋もないので、個人的な推測も書いておきます。流れ外科医さん改めゆでがえるさんのコメントにもあるように、現在0.4μSv/h前後というのは、3/21降雨時の常総・東葛地域周辺の大気中の放射性物質がすべて降下し、それがそのままその場に吸着していると考えて試算した値と調和的です。従って、この値は最大値に近いレベルと考えられ、これを超える地点がたくさんあることは現実には考えにくいと思っています。
また、リスクについてですが、たとえば、下記のような調査結果から考えると、現在の柏のレベルは、多少の変動を気にするような水準ではないと思われます。
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=09-02-07-02
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=09-02-07-03

(3):検算していませんが、ヨウ素131なども含め、基準値設定対象となっている放射性物質をすべて合算すれば、17mSv/年くらいにはなるだろうと思います。現実には、あらゆる放射性物質について、年中基準値ぎりぎりの食材を全食品目作り出すというような汚染ではないことは明白ですし、また食糧自給率の問題などもありますが、仮定の話としては、そういう試算もできますということで、間違いというわけではないだろうと思います。

以上です。ご参考になれば幸いです。

お役立ちリンク、ありがとうございました。

by 水琴 (2011-06-21 21:35) 

柏っ子親父

水琴さま
 お疲れのところ、またお忙しいところ、丁重なお返事ありがとうございます。

 大事には至らないと思いつつも、帰省時に子どもを遊ばせている公園などでの測定値(空間で0.5とか、地表の芝が0.8とか)が耳に入るに伴い、帰省中に自分がびくびくしている様が想像できて悶々としています。

 家内には「考えすぎの方が身体に毒」と言われております。全くその通りだと思いながら堂々巡りをしております。

 悲観的な情報も多々見かけますが、水琴さんやゆでがえるさんのブログなどでも勉強させていただき、冷静に対処してゆきたいと思います。

 どうもありがとうございました。
by 柏っ子親父 (2011-06-22 12:38) 

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