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第36期棋王戦第二局 [将棋]

久保棋王に、渡辺竜王が挑戦している今期の棋王戦第二局。

詳細は、中継ページをご覧ください。

本局は、久保棋王が後手番ということで、ゴキゲン中飛車に。

そして、渡辺竜王の対策は・・・、7手目▲5八金右!

いよいよ、来ましたね。平行して行われている王将戦か、この棋王戦かどちらかで一局は現れるだろうと思っていましたが、こっちでしたか。

足を止めて打ち合う将棋で、しかもノーガードでスウェーでかわしながらパンチを出し合うみたいな展開なので、一発はいるとアウトという非常に恐ろしい戦型。矢倉が純文学なら、これは怒号飛び交う任侠ものか(笑)

とはいえ、最近は、すこしずつ定跡らしきものが整備されてきて、30手目△2七角くらいまでは、だいたいこう進むところという感じになってきた。作戦を決めてきたら、二日制でもぱっぱと指すタイプの竜王が、この一手の17手目▲2一飛成になぜか時間を使っているな・・・と思ったら、ケーキを食べていたのか(笑)ちなみに、相手が、おやつを食べているときに指すのもマナーが悪いとされているそうだ。

31手目は、▲8一銀不成か▲9一銀成と二通りの指し方があるけど、本局は、▲9一銀成。▲9一銀成と決まれば、36手目△8一銀までは、ほぼ定跡。続いて、▲6五香打まで定跡と思われていたんだけど、本局は、ここで新手がでました。

37手目、▲1三竜。

まあ、普通の手と言えば、その通り。部分的には、この戦型ではよく出てくる手で、いつ竜を引くかがポイントだったりするんだけど、ここで▲1三竜としたのは初めてということですね。自然な手なので、研究会とかでは指されたことがあるんではないかと思います。香車を手放すのを遅らせるわけなので、いきなりハメられたりすることがなければ、▲6五香打よりもやや勝っているか。

▲1三竜に対しては、後手は、非常に手が広そう。一目は、△6六馬~△5六香の筋。ただ、自然な手を指しているだけだと、研究にはめられる可能性が高いので、どこかではちょっとした変化を見せなくてはいけないだろう。

46手目△6七銀までは、この戦型ではよくある後手からの攻め筋。しかし、47手目は、驚きました。金取りを放置して、▲2八歩!まあ、確かに角は詰むんだけど、中央で金を取られる方が痛そうな感じもするんだけど・・・。

でも、考慮時間が短いなあ。形勢がほぼ互角なときに、こんな怖い手をさくさく進めると言うことは、研究範囲なのか。うん。研究していなければ、これは指しきれないよね。ここは、勢い金と角をそれぞれ取り合うことに。

ここで、48手目△5六銀不成もちょっと意外だった。なくはないかなとは思っていたけど、成るほうが普通かなと。それにしても考慮時間の差が激しい。

50手目の継続手が注目だったけど、△6七香だった。・・・う~ん。これだと、一目▲5八金とかわされて苦しい感じだ。ここからは、少し形勢が離れた感じがした。はっきり、先手が面白い。

しかし、54手目△7一玉は、なかなかの好手。玉の早逃げ八手の得というのを地でいくくらい手数が伸びた印象。まあ、厳密には2~3手くらいかな。でも普通の早逃げは、一手伸びればよしくらいの感じなので、2手以上伸びるのはまれだ。

対して、55手目▲7五桂も参考にしたい手。早逃げによって焦点のぼやけた後手陣を確実に補足するための手。こういうときに得たりとばかりに焦ってラッシュすると、自分で勝手に転ぶことになりかねない。こういう兵糧攻めのような包囲網を築くのがよいことが多い。

以下は、多少の変化はあれど、大勢決す。

というわけで、本局は渡辺竜王の勝ち。

本局は、久保棋王のゴキゲン中飛車に、渡辺竜王が▲5八金右超急戦で対抗。新手を繰り出して快勝という内容。中飛車側が変化するとすれ、有力なのは、二カ所。(1)37手目▲1三竜に対して、△6六馬以外の手を選ぶ。(2)48手目△5六銀不成のところ、△5六銀成とする。ただし、(2)は、良くて互角という感じ。5六成銀、5五飛の形は、ちょっと重い。(1)は全く別の展開になるので、それぞれ一局。

いずれにしても、新手▲1三竜は、これからも指されるでしょう。自然な手なので。

中継棋譜コメントに載っていた久保棋王のゴキゲン中飛車▲5八金右超急戦の勝率を見ると、実は負けまくっているということがわかります。これは、本局のようにタイトル戦クラスの強豪居飛車党の研究手を受けて立つ機会が多く、しかもだいたいその一号局に選ばれてしまうと言う巡り合わせによるものかと思います。そして、良い対策を開発して一勝すると、みんな▲5八金右超急戦を採用しなくなるので、自然と振り飛車側が負け越してしまいやすい・・・ということかなと思います。正調角換わり腰掛け銀同型の後手番みたいなもんですね。受けて立つ側は、局面の数理的な優劣とは関係なく、どうしても勝率が下がりがちです。

さて、これで、このシリーズは通算1-1。残り三番勝負ということになりました。

次局は、おそらく三間飛車かと思いますが、熱戦に期待。


タグ:将棋 棋王戦
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尚武帝 なお

初めまして。私も将棋が大好きで下手糞ながら将棋の検討などをブログで行っています。よろしかったらご覧ください。
また遊びにきます。

実は58金急戦で久保さんは良く負けていますが、それでも相手がA級ばかりです。将棋界全体の勝率としてはまだまだわかりません。
58金が居飛車よしになるとゴキ中は終わりですから、久保さんには頑張ってもらいたいです。
by 尚武帝 なお (2011-03-01 13:47) 

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